認知行動療法とは

認知行動療法の実際 (大野裕)
認知行動療法の実際 (大野裕)

 

 ここまで「こころのスキルアップ教育」の具体的な内容について紹介してきました。次に、私たちの授業案のベースとなっている認知行動療法そのものの理論についてご説明しましょう。2011年11月8日発行の少年写真ニュース(少年写真新聞社)に大野裕先生が書かれた記事を一部引用させて頂きながら紹介したいと思います。

 

(以下、引用)認知行動療法というのは、精神疾患に対するカウンセリングのひとつで、うつ病などの精神疾患はもちろんのこと、日常生活の中でのストレス対処にも効果的だとして、近年さまざまな分野で注目されてきている心のコントロール法です。

 

 認知行動療法の「認知」というのはものの受け取り方や考え方といった意味で、認知行動療法では、ストレスを感じたときにそのときの受け取り方や考え方を振り返り、もう一度客観的に現実を見つめ直すことで、気持ちを軽くしたり、問題に対処する力を発揮したりするための手助けをするものです。

 

 この方法をいったん身につけると、患者さんはうつ病などの精神疾患にかかりにくくなります。それはストレスに対処する力がつくからで、精神疾患にかかっていない人でも、方法を身につけるとストレスに負けない力がついてきます。また、認知行動療法は大人だけでなく、子どもや思春期の人の落ち込みや怒り、不安などの気持ちのコントロールにも役立ちますし、ひいてはほかの人の気持ちを思いやることもできるようになります。 (引用終わり)

 

 なお、この認知行動療法ですが、今お伝えしたように自分のものの受け取り方を振り返り、客観的に現実を見つめ直すアプローチのことを「認知的技法」といいます。このほかに、問題に対処する方法を身につけたり、対人関係を改善するコミュニケーション術を学んだりするアプローチのことを「行動的技法」と呼びます。認知的技法と行動的技法を上手に織り交ぜながら、クライアントの問題解決能力を底上げする≒生きる力を育む(あるいは、気分を改善する)ことがこの認知行動療法の目的であり、実際だと言えます。

 

次のページからは、これら認知的技法と行動的技法を簡単に説明していきます。  (続きを読む)