設立の経緯  

                         発起人 高橋チカ子

 

 私は10年ほど前に神奈川県内のN中学校のスクールカウンセラーとして勤務していました。この学校は、県内でも指折りの荒れた学校でした。教室の天井も一部がはげ落ち、トイレのドアも壊れている。このようなことが校内の随所に見られていました。もちろん当時の校長も教職員も何とかしようと努力していましたが、なかなか思うようにならなかったのです。こんなときに、研究主任から「こころの教育」を授業としてやれる方法はないかと尋ねられました。

 

 そこで私はライオンズクラブ国際財団が支援する「ライオンズクエスト 『思春期のライフスキル教育』プログラム」を紹介したのです。これは、青少年が人間関係など日常で経験するさまざまな困難をうまく乗り越えるために必要なスキルが題材となっていました。当時の先生方が喜んだのは、指導案が丁寧であること、また教材もいろいろと準備されていることでした。そしてその内容は大事なところに認知行動療法の考えが入っていました。

 

 個別の相談の中では認知行動療法を使いながら何人もの生徒を元気にしていたものの、授業という方法は未知の世界でした。しかし、校長をはじめ先生方のやり抜こうとする強い気持ちが原動力となり、このプログラムを実践する中で18年間荒れていた学校を落ち着かせていったのです。

 

 その後私は、このプログラムの内容とN中学校のことを認知行動療法の第一人者である大野裕先生(国立精神神経医療研究センター・認知行動療法センター長)にお話しました。大野先生の「より気軽に使えるものがあれば学校教育への大きな助けになるだろう。何とか作りたいね」という言葉から私は、仲間と認知行動療法教育研究会を立ち上げ、大野先生の指導を頂きながら認知行動療法のエッセンスを取り入れた指導案作りに動き始めたのです。